竹内次男先生(京都工芸繊維大学構内)
春日華栄作品集より

人格は何か液体状のものの上に乾いて、または冷えて出来た膜のようなものという気がします。
地球の大地がマグマの表面に張った薄膜であるように。

 

私は彼の人が死んでしまったのだと知ってその一部を抉り取られた気がしました。

その人は竹内次男先生(写真)。

先生自身の母校でもある京都工芸繊維大学の名誉教授、専門はロマネスク建築、フランス語をはじめ語学堪能、学芸員で自らも抽象画等を描く多才、同大学の美術工芸資料館の礎を築き館長も務め、また日本に於けるポスター芸術の権威でもありました。そんな先生に私は学生の時代からもったいない程に目をかけて頂きました。

何度ご一緒にビールを飲みお話しした事でしょう。数えきれません。

気配りの出来ない人は居場所を失う一種暗黙の緊張感のある中で、互いに話の腰をもみ合う(折るのではない)ことを良しとする自由で楽しい集いでした。

できの悪い私は留年時代、手伝いや課題の後、ビールを買い出しに行っては晩に研究室で飲みながらお話しを伺いました。

抉られ失った大地からは言葉にならないものが溢れます。

先生、ありがとうございました。